2016年9月23日金曜日

初秋のバーガンディパニエ~たっちコラムvol.8~

2016.9月号(No.88)のこどもたっちコラムです。


十五夜が過ぎて秋彼岸のあたりになると、野花の可憐な揺れ具合とこっくりとした色味の花が気になりはじめます。
幼い頃は道端に生えているエノコログサ(俗称:猫じゃらし)を引き抜いて、友達とくすぐり合いながら下校したり、ふわふわとした手触りと徐々に紅に色付くコキア(ほうき草)に目も心も奪われたりしたものでした。

大人になって魅了された秋花は、ワインレッド(赤紫)よりも茶色味が強くて落ち着きのあるチョコレートコスモス。
そのブルゴーニュワインのような色味が“バーガンディ”と表現されることを知り、種類によっては微かにチョコレートの香りがするのでますます好きになりました。



今回は手持ちの籠(パニエ)に自然的な花のあしらいです。
“バーガンディ”から繋がる花材は、長い穂がシックなファウンテングラスやスカビオサ。
小花も取り入れて動きを出した花籠は、全てアーティフィシャルフラワーなので、本格的な秋の到来まで枯れることを気にせずに飾れます。

完成後は仕事場の片隅へ運びました。
目に留める人の心に、初秋の悦びが訪れますように。


2016年9月20日火曜日

Byzantine ~ORNE~

雨の月曜日・・・。
台風の被害と進路、グレー一色の空を仰ぐだけでも憂いさは募るのに、今朝は携帯電話をアスファルトの上に落としてしまい、更にショックでした。
それでも日記をひろげられるのは、ショップの店員さん、サポートセンターの方の親切な対応に元気をいただいたから。
お仕事とは言え、ユーザー(私)への細やかな言葉かけや心配りには頭の下がる思いでした。
どんなに科学が進歩しても、人の心は人でしか癒すことはできないのだと思います。
顔が見えても見えなくても、その人の言葉かけから心の温度と言うのは伝わるのだな・・と感じました。
それから、今朝はほんの数十分でもレクチャーして下さった先生にも感謝。
とても短いオルネタイムでしたが、今日の作品はもう少しフラワーモチーフを追加したらアップしようかと思います(笑)。

こちらは、前回の教室で制作した額入りのオルネフラワーです。
宿題に自宅へ持ち帰り、スキマ時間を見つけて貼り合わせて・・ようやく完成。
まだカリキュラムが終了する前から、私が一目惚れしてしまい先生に材料をお取り寄せしていただきました(笑)。

作品テーマは、世界の芸術文化の流れを遡ること約1700年~560年ほど前の、中世の芸術“Byzantine(ビザンティン)美術”。
当時は1000年間に渡り、その美術が発展したことにまず驚きです。

その後は、ゴシック・ルネサンス・バロック・ロココ・新古典・ロマン主義・印象派・モダニズム・コンテンポラリーアートと続きますが、時代ごとに、宗教的要素や当時の生活・社会背景を垣間見ることが出来て、図書館や書店で美術書を開くのは楽しいものです。

オルネフラワーでは、幾何学的構成とモザイク的な雰囲気を再現しています。
見えない部分には細かな螺鈿(らでん)風素材を張り付けて、表情を出しました(笑)。


子どもたちも気に入ってくれたので、こちらのフレームアレンジはピアノの上へ立てかけて(笑)。
仕上がった“OrneByzantine”に祈りを込めて、今日も眺めています。
壁画や石彫、素描、油絵、様々なアートの数々。
人の手で創り上げた作品に、世の人はいつも心の拠り所を求めていたのではないかな・・と想像します(笑)。

憂いな出来事を拭いさらって、明日はまた心地よく過ごしたいものです。


2016年9月16日金曜日

第22回福島県PTA連合会郡市P母親代表者懇談会

今日は漢字だけの長いタイトルに、かたい印象を受けなくもないですが。
実際はとてもためになる研修の多い、母親委員会。
小学校でのひとり役員からスタートし、私はかれこれ7年目の在籍になります(笑)。
今朝は8時ごろ家を出て、本宮へと車を走らせました。
向かうは福島県農業総合センターです。
初めての施設訪問と、ちょっと泣き出しそうな空にお出迎えされて不安で胸がドキドキ。
でも、足を一歩踏み入れたら建物の素晴らしさと出会った人の温かさに、とても癒されました。



ご講話頂いたのは、福島大学うつくしま未来支援センター特任准教授 大瀬健嗣氏による、「放射線の基礎と食品中の放射能」。
続いて、消費者庁消費者安全課 政策調査員 野田健氏による「食品中の放射性物質の評価と管理の現状」について情報提供がありました。

昼食後のグループ別懇談会では、「放射線による食品リスクについて」語り合い、様々な価値観を共有しました。
ご一緒した同テーブルのお母さん方との出会いに感謝!
浜通り(私)・中通り・会津地方のコラボトークは、とても実のあるものでした。

安心(主観)と安全(客観)は異なること。
人の数だけ、安心だと思える基準にも違いがあって当たり前なのかも。
確かな情報を知り得ることと、自分なりの物差しを持ち合わせることが大切かなと思いました。

震災から5年。
これまでもあれからも、ここで暮らしているのです。



敷地内の植栽が早くも真っ赤だったので、目を惹きました。
昨年我が家でも、このハート形の葉が欲しくて、まだ小さい株立ちの“カツラ”を植えました。
こちらは一本立ちのカツラ?それとも、マルバノキ?
♡の葉、やっぱり可愛い!


子どもたちのお弁当を毎日早起きして作り、朝ひと通り家事を済ませて、こういった場へ向かおうとする自分の原動力って何だろう・・と、家路に向かう車中でフッと考えました。
子どもが好きなこと、子どもを通してみる学校が好きなこと、向上し合える出会いが好きなこと。
自分で直接足を運んで、自分の目で見ることが好きなのかも。

確かな情報、ずっと気になる問題の突破口は、見ようと思わないと見えないものだし、そうやって直接目で見て、触れて、確認するしか方法はないような気がしています。

センター出入り口には、あまり目立たないアベリア(エドワード・ゴーチャー)の花が可憐に咲いていました。
ずっと見てみたいと思っていた、小さな花に出会えたことも今日は幸せでした。






2016年9月15日木曜日

中秋の名月~一文字レター~

外の虫の音が心地よいです。
明後日の満月が十五夜だと思っていたら、今年は今夜が中秋の名月。
うっすらと雲のかかったお月さまを、ちょっとだけ見ることが出来ました。
日中も夏の匂いが遠のいてきました。
このまま、秋へまっしぐら・・となるかな。

母の描く一文字レター、9月~10月のカレンダーは、“月”。
流れる文字に、金の絵の具をうっすら一塗。
よく見るとキラキラと細かな輝きが見えます。

春や夏とは異なる秋の月。
もっともっと夜空が美しい冬に向かう途中の、穏やかな月。
毎夜、表情の異なる月を見るのが楽しみです。


昨夜は久しぶりに遠くに住む実姉と長電話をしました。
姉妹・・というのは、本当に話が尽きないもので、近くに住んでいたなら手に取って共有できるモノだらけだっただろうと思います(笑)。

月見、読書、DVD鑑賞、長電話、・・ちょっとのお酒?
秋の夜長にしたいこと、頭の中で色々と挙げているところです。


2016年9月13日火曜日

Mint Pot ~for my dearest~

誕生日、記念日、その他諸々のライフイベント。
今月からそれらがコンスタントに巡ってきて、気がつけば年の瀬・・と感じることの多い我が家です。

最初に誕生日を迎える次女に、彼女が好きなグリーンカラーのアレンジを作りました。
大きなお腹を抱えていた15年前のこの月は、アメリカで同時多発テロが起きた月。
メディアで知る惨い現実と、それから数日後に生まれてきた命の尊さとを共に感じて過ごした時代でした。

子育て中の記憶・・というのは、忘れまいとしても所々飛んでいてまだら模様です。
母親として心が折れそうな出来事がある時は、記憶欠如の部分を埋めるべく時折アルバムを見返しています。


彼女に助言を求められる時、この頃思うのはこんなこと。
それは、私自身のこれまでの経験で感じ得た事柄でしか話を持ち掛けることが出来ないということに、ジレンマを感じている・・ということです。
だからどうしても話も考えも偏りがちです。
出来れば親も子もちょっと世界を広げて、それぞれに異なる場所で過ごして感じたこと共有したいな・・と思います。

学校以外の場所で、お盆明けから弓道を始めた彼女。
ずっとしたいと思っていたことに、勇気を出して挑戦し始めました。
家庭でも学校でもないコミュニティで、何を感じているのか。
これからも成長を見守りたいです。


2016年9月12日月曜日

Art de Vivre ~Strauss~

20年ぶりに花と向き合う時間を持ち始めてからは、折に触れて“Art de Vivre (アール・ドゥ・ヴィーブル)”という耳慣れない言葉に出会うことが多くなりました。
このフランス語を直訳すれば、“生きること(生活すること)はアート(芸術)である”という意味らしいのです。
暮らし方も生き方も心豊かに過ごそうとするフランス人の、美意識の高さを感じずにはいられない言葉のように受け取られます。
日本的な美の概念ならば、“わびさび”や“あいまいさ”が代表的なところなのかな。
その国の、その人ごとの、こだわりや好きを追求して生きていく小粋なライフスタイルは、フランス人でも日本人でも常々私は憧れを抱きます。

(自分の好きって何だろう・・。)
心地よいもの、こだわりを持つもの、恋い焦がれるもの。
ほぼ直感的に目と心を奪われる有形無形のモノたちが頭に浮かんできます。

今日の生花レッスンは、“花の都”パリを感じさせてくれるような素敵な色使いと個性的な花材でシュトラウス(花束)を形作りました。
ダマスク柄のシートやサテンリボンでのおめかしも、レッスンの一部です(笑)。



青ドラセナと華やかなバラ(ザ・テレサ)のコントラスト、それから柔らかな花弁を持つトルコキキョウとのコンビネーションにうっとりします。
個性的で美しいな・・と思うのは、粒々のベンケイソウと小ぶりのカラー(ピンクハート)。
薄黄色のガーベラ(マリブ)も、程よいアクセントになりました。


今日も花たちは定位置へ。
涼しい一日だったので、持ち帰り後もくたびれていない様子で嬉しいです。
久しぶりに、フレッシュフラワーの“気”をいただきました(笑)。

花の美しさ、個々の尊さ、好きにはなれなかった切り花になぜか“命”を感じること。
聞いてくれる誰かに、言わずにはいられない今日です。


2016年9月9日金曜日

Antique Mauve Color ~Frame Arrangement~ 

とあるご縁で、花に触れてみたいというお子さんと、ここ数回ほど一緒に花時間を過ごしています。
予め好みの色を聞いて生花を用意したり、手持ちのプリザーブドフラワーを持参したりしてのお宅訪問。
私は隣に座り、お互いに好きなように花を挿していく・・とても穏やかな時間です。

今日はお礼に音楽を聴きに来てくださいと、市内で開かれていた方部音楽祭へ招かれました。
人混みの中でその子を見つけて大きく手を振ったら、満面の笑み。
子どもたちが斉唱した歌声と詞が胸に響いて、少し涙が出ました。

私は花時間の愉しさを贈り、彼女からは音楽を奏でる喜びを伝えて貰いました。

彼女は淡い色が好きらしいけれど、私はちょっとくすんだ色が好きなのだと話たら、何故か目を丸くします。
何故だろうと思って理由を聞いてみると、“くすんだ色は、汚れたイメージがある・・”とのこと(笑)。
心にほんの一滴墨を落とした色が、きっと彼女にとってはくすんだ色なのかな。

(ピンクや紫、茶色のアンティークカラーを素敵だな・・と思い始めたのはいつ頃からだっただろう。)
音楽祭から戻ってきて、以前教室で作ったフレームアレンジを眺めながらそんなことを考えていました。


くすんだ色は、花の陰影が多くて奥行きを感じます。
フレームにモーブ色のアーティフィシャルを集めたら・・何となく絵画のように見えなくもない(笑)。
きっと彼女がたくさんの経験を積んだ後、花に触れたならくすんだ色の魅力を知るのではないかと思います。
経験値の低い私も、彼女と同じです。
生きる場所も年齢も異なりますが、いつも会うたびに胸の奥に何かを感じる花時間です。